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声は高くても、実際には環境問題への県民の取り組み方は盛り上りを見せていない状況の中での公演であったために、上演の日の客席の入りは極めて少いのではないかと憂慮されたが、当日は数100名が劇場に入場出来なかったほどの動員力を示した。
さらに熊本県立劇場は「川は流れる」シリーズの第2弾として、平成9年2月23日に、「いま、緑川は流れる」を、同じ型式で開催している。

 

(7)基金活動を支える「日常塾クラブ」

熊本県立劇場文化振興基金による地域おこし活動を、ボランティアとして支えているのが「日常塾クラブ」である。
基金そのものが、日本で初めての型式の地域おこしのボランティア活動であるが、熊本県立劇場は平成元年1月から、社会人の学習サークル「日常塾」を毎週木曜日、昼夜3時間ずつ、1クラス23人程度で開講し、これまでに860名余りが巣立っている。
これもボランティア活動の一環として行われており、講師は館長1人でテキストもなく、毎日の暮らしの中から、政治、教育、歴史、科学、マスコミ、生き方など、多岐にわたる問題を取り上げて学習し、さらに礼儀作法、文章の書き方、デッサン、朗読まで習得する多様ぶりである。
大学の教授から小中高の教師、医師、歯科医師、獣医師、社長、OL、公務員、会社員、主婦、農家、経営者、看護婦、保母、さらに全盲や難聴の障害者、車椅子の人まで、社会のあらゆる階層の人が学んでいる。
普通のカルチャーセンターとは異り、講師から何を質問されても、知りませんと言ってはいけないのが唯一の約束事で、他人に頼らずに、間違えてもいいから、自分で考えろという方針である。中途半端な考えやマスコミの意見丸呑みの返事をすれば教室から追い出され、別室でひとりで考えさせられる厳しさである。
こうした緊張が一体感を生み、卒業してもなおかつ自分達だけで勉強していこうと、自発的に組織したのが、「日常塾クラブ」である。
そもそも日常塾開設の目的には、熊本県立劇場が基金によって県民文化を引き上げることに努力するが、いざ実施するとなると、劇場の僅かな職員だけでは到底事業は進まない。
例えば神楽の徹夜上演となれば、深夜に入場する人の切符をもぎる必要もあるし、明け方に客席に案内する人もいる。「こころコンサート」では、第1回は350人のボランティアを確保しなければ、700名を越す障害者の世話をし、昼夜それぞれ2,000名に弁当を配らなくてはならず、舞台へ2,000名の人と楽器を運び出したり、引っこめた

 

 

 

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